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甲府地方裁判所 平成5年(わ)363号 判決

被告人

1 名称

富士島建設株式会社

氏名(代表者)

井上勲

所在地(本店)

山梨県韮崎市富士見三丁目七番二九号

2 氏名

井上勲

年齢

昭和六年一月一〇日生

本籍

山梨県韮崎市富士見三丁目二六〇三番地

住居

同県同市富士見三丁目七番二九号

職業

会社役員

検察官

鶴田小夜子

弁護人

関野昭治

主文

被告人富士島建設株式会社を罰金一二〇〇万円に、被告人井上勲を懲役一年に処する。

被告人井上勲に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人富士島建設株式会社は、土木工事業を目的とする株式会社であり、被告人井上は、同会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人井上は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと考え、水増外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六三年六月一日から平成元年五月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億二七五五万二六五六円であったにもかかわらず、平成元年七月三一日、甲府市丸の内一丁目一一番六号所在の甲府税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九二五四万七一〇〇円で、これに対する法人税額が三七〇一万七五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五一七一万二〇〇〇円と右申告税額との差額一四六九万四五〇〇円を免れた。

第二  平成元年六月一日から平成二年五月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億一二六九万六五二一円であったにもかかわらず、平成二年七月三一日、前記甲府税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七五三二万二〇九〇円で、これに対する法人税額が二八五三万三二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額四三四七万七五〇〇円と右申告税額との差額一四九四万四三〇〇円を免れた。

第三  平成二年六月一日から平成三年五月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が九一四四万二二九四円であったにもかかわらず、平成三年七月三一日、前記甲府税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三九四九万九六四六円で、これに対する法人税額が一三八七万七八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三三三五万六五〇〇円と右申告税額との差額一九四七万八七〇〇円を免れた。

(証拠)

全部の事実について

一  被告人井上の

1  公判供述

2  検察官調書二通

一  井上公子、小幡義徳、篠原たかみ、弘内静枝、三井春光、輿水章一、仲田春美、小澤悦子及び竹田初美の各検察官調書

一  領置てん末書

一  主要材料費調査書

一  外注費調査書

一  仮設経費調査書

一  機械等賃借料調査著

一  機械等油脂燃料費調査書

一  従業員給与手当調査書

一  受取利息調査書

一  損金の額に算入した道府県民税利子割調査書

一  謝礼金調査書

一  事業税認定損調査書

被告人井上につき、いずれも法人税法一五九条一項

刑種の選択

被告人井上につき、いずれも懲役刑

併合罪の処理

被告人会社につき、刑法四五条前段、四八条二項

被告人井上につき、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第三の罪の刑に加重)

刑の執行猶予

被告人井上につき、刑法二五条一項

(求刑・被告人会社に対し、罰金一五〇〇万円、被告人井上に対し、懲役一年)

(裁判官 久保雅文)

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